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弁護士法人心 厚木法律事務所

寄与分が認められるための要件

  • 文責:所長 弁護士 横江利保
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 寄与分が認められるための要件の概要

寄与分が認められるためには、次の要件を満たす必要があります。

① 相続人であること

② 被相続人に対する、通常期待されるものを超える貢献があったこと

③ ②によって被相続人の財産の増加・減少の抑制があったこと

④ 主張できる期間内に寄与分の主張をしたこと

以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 相続人であること

遺産分割の際に寄与分を主張できるのは、原則として相続人のみとなります。

実際には、相続人の配偶者(長男の妻など)や子(被相続人の孫)が被相続人のお世話をしていたということもあります。

このような場合、相続人の行為と同視して、例外的に寄与分が認められるという可能性もあります。

ただし、寄与分に似た制度として特別寄与料というものもあります。

特別寄与料は、相続人以外の親族が主張することができます。

3 被相続人に対する、通常期待されるものを超える貢献があったこと

寄与分は、被相続人が入所している病院や施設にお見舞いに行っていた、仕事の合間に家事をしていたなど、一般的に家族として行われると考えられる範囲の行為では認められません。

夫婦や親子関係など、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度の貢献を超えるような貢献があったといえる場合に、寄与分は認められます。

例えば、被相続人の世話をするために離職をして、日々介護士やヘルパーの方の業務と同等の介護をしていたというような場合には、寄与分が認められやすいといえます。

4 被相続人の財産の増加・減少の抑制があったこと

3で述べた貢献があったうえで、被相続人の介護や入院のための費用が抑えられたなど、被相続人の財産の増加・財産の減少の抑制があったといえる場合、寄与分が認められます。

5 主張できる期間内に寄与分の主張をしたこと

2023年4月1日以降、寄与分の主張には期間制限が設けられました。

寄与分の主張ができるのは、原則として相続の開始から10年以内となっています。

例外として、相続が開始された時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたときには、10年を経過しても寄与分の主張が可能とされています。

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